普通、[身を尽くしても]というお題で連想するのは、百人一首の恋の歌だと思われる。
まあ、その通り文言で知られてるのはそれだけだろね。
いまどき言わない言葉なわけだし。
言わないどころか、「身を尽くしても」とまでの強烈な思いを抱くことが現代人全般として少ないんじゃないかと思う。

だけど。
百人一首の恋の歌以外の「身を尽くしても」を探しつついたところ、この本を再読してしまった。
高校卒業直前か、大学入学したばかりの頃、一時期、司馬遼太郎ばかり読んでいた時期があった。
ま、司馬先生が大学の大先輩だからだったんだけど。
その頃、一度読んでいたはずなんだけど、今のほうがずっと興奮した。

土方歳三は決して
「身を尽くしても」お国のために尽くそうとか、
「身を尽くしても」将軍様に従おうとか、
「身を尽くしても」外国人を追い払おうとか、
そんなことを考えていた人じゃない。

でも、
「身を尽くしても」最後まで剣の道を行き、
「身を尽くしても」最後まで戦いの生を送り、
「身を尽くして」、武士として死んで行った人だと思う。

分厚い1冊の本のうち、1/3を3日間の通勤時間に読んで、残りは夕べ一気に読破したんだけど、最後1/3はいまひとつ面白味にかけた。
司馬先生の筆の勢いと緊張感に釣られて読んでいたせいで、こっちまでテンションをきつめにはっていて疲れていたせいかもしれないけど。こっちまで息詰まる感じで。

なんか、近藤さんと総司が死んでから後って、滅びに向かって疾走してしまう感じで、歴史的事実ばっかりで歳三の人間的な面が見えづらかった。
近藤さんと総司っていう昔馴染みがいなくなったことで、会話文が減ったせいかな。
宮古湾の戦いだとか、五稜郭の戦いだとか、歴史的事実のみなら調べりゃわかることであって、どうせなら司馬先生書くところの土方歳三というキャラクターをもっと読ませて欲しかったな、というところが残ってしまった。
ま、私の頭の中じゃ、ほとんどのキャラクターは去年の大河で演じた役者さんの顔で動いてるんだけどさ(笑)。
「龍馬が行く」も読み直さねば。
「坂の上の雲」と「翔ぶが如く」はどっちの題名がどっちの内容なのかごっちゃになっちゃってるし。


とはいえ、「身を尽くしても」とまでの強烈な思いを抱くことができることってすごいことだと思う。
恋の道であっても。
それがたとえ時流に逆らうことであろうとも。
戦いという道であろうとも。
人斬りといわれた人間であろうとも。


私には、「身を尽くしても」とまで思える「何か」がまだ欠けている。

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玲

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